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Review Article
難治性の好酸球性副鼻腔炎—治療戦略のパラダイムシフト
Intractable eosinophilic chronic rhinosinusitis: a paradigm shift in treatment strategy
池田 勝久
1
Katsuhisa Ikeda
1
1順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター耳鼻咽喉科学講座
キーワード:
好酸球性副鼻腔炎
,
ステロイド薬
,
診断基準
,
指定難病
,
生物学的製剤
Keyword:
好酸球性副鼻腔炎
,
ステロイド薬
,
診断基準
,
指定難病
,
生物学的製剤
pp.532-542
発行日 2021年6月20日
Published Date 2021/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411202740
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Summary
●疫学の観点から,発症頻度は0.6〜2.2%,男女比は3対1,平均年齢は48〜52歳,気管支喘息の合併は20〜30%,再発率は26%,再発までの平均期間は23か月である。
●診断基準は,病巣の両側性,鼻茸の有無,篩骨洞陰影の優位性,血中好酸球の割合の項目を点数化し,①17点満点で11点以上であること,②鼻茸組織中好酸球数(400倍視野)が70個以上であること,の両者を満たす場合である。
●鼻噴霧用ステロイド薬の効果が乏しい再発性鼻茸や嗅覚障害に対し,経口ステロイド薬として第一選択となるのはプレドニゾロンである.短期間(7〜21日間)の,30〜60mg/日もしくは体重1kg当たり0.5〜1mgの固定量,または漸減の投与法は有害事象が少ない。
●生物学的製剤であるデュピルマブは,術後の再発症例や全身的ステロイド抵抗症例など,既存の方法では治療に難渋する重症好酸球性副鼻腔炎に対する新規治療薬で,その適応は,①手術の既往と鼻茸再発がある,または高齢や合併症などにより手術が非適応であること,②両側の鼻茸のサイズが中鼻甲介下縁を超える,または鼻茸が中鼻甲介の内側(嗅裂部)にあること,③中等度以上の鼻閉症状があり,許容できるが煩わしいこと,の①〜③すべての項目を満たすものである。
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