書評
顔面骨への手術アプローチ
鄭 漢忠
1
1北大大学院・口腔顎顔面外科学
pp.807
発行日 2020年9月20日
Published Date 2020/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411202502
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手術で最も大事なことは,どのようにして目的とする場所に到達するかということである。そのためには切開線の設定が大切だということを先輩たちから幾度も教わった。確かにそこに到達する道はいろいろあるかもしれないが,解剖をよく考えるとおのずと決まってくるものだ。この『顔面骨への手術アプローチ』を読んだとき,先輩たちに教わった数々のことが思い出された。臨床は経験だという。いや,それだけではない。この本を読んだとき,いかに多くの先輩たちから最もトラブルの少ない,安全なルートを教わっていたのかということをあらためて知らされた。
本書は少ない労力で安全確実に目的とする場所に到達する道を指南する書である。正確で豊富な図や写真はさすがに臨床家であるEllis先生ならではのわかりやすさである。随所にちりばめられているキャダバーを用いた重要な解剖単位の剖出写真は非常に参考になるものと思われる。また,何より訳者の正確な日本語は素晴らしく,とても読みやすい内容に仕上がっている。
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