増刊号 フローチャートと検査一覧で ひと目でわかる耳鼻咽喉科診療
1.耳科編
自声強聴—耳管開放症,感音難聴による補充現象,上半規管裂隙症候群
大島 猛史
1
1日本大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野
キーワード:
自声強聴
,
耳管開放症
,
感音難聴による補充現象
,
上半規管裂隙症候群
Keyword:
自声強聴
,
耳管開放症
,
感音難聴による補充現象
,
上半規管裂隙症候群
pp.64-67
発行日 2020年4月30日
Published Date 2020/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411202363
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ここを押さえておこう
●自声強聴とは,自身の発する音声が耳に響いて聴こえる症状をいう.あるいは「割れて聴こえる」「こもって聴こえる」という表現もあり,同時に耳閉感を伴うことが少なくない.
●咽頭腔の音声が開放した耳管を介して直接的に中耳腔に到達することにより自声強聴は生じる.この発症機序からは耳管開放症を容易に想起できるし,実際に耳管開放症では自声強聴は患者を悩ます主症状となる.そのため,自声強聴を主訴とする患者を診察した場合に最初に考える疾患は,耳管開放症であろう.
●しかし,自声強聴は自声の伝わる2つの経路,気導および骨導のうち,急に骨導の伝導割合が大きくなった状態でも生じる1).例えば,急に外耳道が閉塞された状態である.さらに,感音難聴に伴う補充現象により自声強聴・聴覚過敏の訴えが出現する.
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