増刊号 救急・当直マニュアル—いざというときの対応法
Ⅴ.当直での術後急変への対応
術後せん妄
畑中 章生
1
1青梅市立総合病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
キーワード:
高齢化社会
,
手術
,
合併症
,
術後せん妄
Keyword:
高齢化社会
,
手術
,
合併症
,
術後せん妄
pp.346-349
発行日 2019年4月30日
Published Date 2019/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411202081
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
当直医へのコール
最終的に術後せん妄と診断される症例について病棟から当直医にコールされるときには,以下のような状況が予想される。
●患者が興奮状態,高血圧状態になることで,手術後の安静が保たれない。あるいは身体の安全が担保できない。
●患者が周囲の状況を理解できずに,カニューレやドレーンを自己抜去する可能性が上昇している。
●興奮から二次的に血圧も上昇しうるため,術後出血の可能性が上がる。耳鼻咽喉科・頭頸部外科手術の特性上,術式によっては気道閉塞のリスクが上昇している。
●再建手術術後に頸部の安静が保たれないのであれば,遊離皮弁移植症例では皮弁壊死のリスクが上昇している。
●上記のことから,術後にせん妄が生じると,手術合併症が生じる可能性も上昇している。
●せん妄を疑うような状況ならば,ほかに鑑別すべきものはベンゾジアゼピン系薬剤の離脱症状,アルコール離脱症状,脳梗塞などである。
いずれにせよ,耳鼻咽喉科・頭頸部外科の手術後のトラブルは術後出血による気道閉塞や皮弁壊死などのリスクと直結しているため,その状況を放置することは危険である。せん妄,もしくは何らかの類症が発生していると連絡を受けた場合には,病室を訪問すべきであると考えられる。
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.