増刊号 耳鼻咽喉科処方マニュアル
8.麻痺・痛み・異常感
顎関節痛
杉崎 正志
1
1鶴見大学歯学部口腔顎顔面放射線・画像診断学講座
pp.268-269
発行日 2016年4月30日
Published Date 2016/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200961
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処方のPoint
・非ステロイド性潰瘍は発症頻度が高く,服用初期に多く発生するので,ガイドライン委員会の推奨する7日分以上の連続投与は避けること。
・顎関節症の関節痛や筋痛は運動時痛であり,安静時痛はきわめて少ない。すなわち,本疾患の疼痛は生体の防衛反応であり,この疼痛を不必要に除外することは疼痛源の炎症をさらに悪化させる危険がある。
・硬固物咀嚼時痛は硬固物を避け,顎関節に負担のかかる前歯部でのかみ切りや,大きな食品の咀嚼をやめる。起床時の疼痛悪化は睡眠の問題であり,good sleepの理解や枕の選択で改善可能である。
・非ステロイド性潰瘍予防にはミソプロストールが長期投与では用いられることがあるが,予防目的での処方はほとんどされていない。
・ナプロキセンは心臓発作の危険性が指摘されており,FDAでは1回220mg・1日2回・10日以内の服用にとどめるように注意喚起している。
・ミソプロストールとジクロフェナクの併合剤があるが,本剤は原則として非ステロイド性消炎鎮痛薬を3か月以上長期投与する必要のある関節炎患者であることから,一般的な顎関節痛には適応がない。
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