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特集 急性感音難聴の取り扱い
1.急性感音難聴の鑑別診断
1.Differential diagnosis of acute sensorineural hearing loss
小川 郁
1
Kaoru Ogawa
1
1慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科
pp.19-24
発行日 2010年1月20日
Published Date 2010/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101531
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Ⅰ.はじめに
感音難聴は聴覚のセンサーとして機能する内耳(蝸牛)の有毛細胞から大脳聴覚野に至る聴覚伝導路の障害によって生じるが,日常臨床で遭遇するものとしては蝸牛または蝸牛神経の障害による感音難聴が多い。これら感音難聴の多くではいまだ有効な治療法は確立されていないが,発症早期の突発性難聴をはじめとする急性感音難聴は完治しうる感音難聴であり,耳鼻咽喉科の日常臨床の最前線ではその鑑別診断はきわめて重要である1~5)。急性感音難聴とはある日突然,または2~3日の間に生じる感音難聴の総称であり,その代表的疾患としては突発性難聴,メニエール病や急性低音障害型感音難聴,急性音響性難聴,外リンパ瘻などがある。これらの疾患では特に早期診断,治療が重要であるが,内耳病態の確定的な診断法がない現状では,急性感音難聴の鑑別診断は必ずしも容易ではなく,これらの疾患を常に念頭におき,おのおのの臨床像を十分に理解したうえで,その鑑別診断に臨む必要がある。特に最近では急性感音難聴の見逃しなどの初期診断に関する医療訴訟も生じており,その鑑別診断についてのインフォームド・コンセントにも十分な配慮が必要である。
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