特集 頭頸部再建外科―日常臨床から理論まで
Ⅴ.日常の診療で具体的に困ったときの形成手術
2.皮膚の処置―カバーリング方法など
河田 了
1
1大阪医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.177-180
発行日 2009年4月30日
Published Date 2009/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101436
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Ⅰ はじめに
耳鼻咽喉科・頭頸部外科の手術において,頸部以外の皮膚を利用してカバーリングすることが必要となる場合がある。再手術や頸部に放射線照射をした症例などがそれに当たる。そのような症例は,頸部以外からの血流の良い皮弁を用いるのが基本である。現在遊離皮弁が頭頸部領域の再建術の主流であるが,再手術の場合は,適当な吻合血管がない場合も少なくない。有茎皮弁である大胸筋皮弁や広背筋皮弁は大きな皮膚を採取できるため,大きな欠損に対して非常に有用な方法であるが,手術の侵襲がやや大きいことが問題点である。
そこで比較的小さな欠損に対して,われわれは前胸壁皮弁を好んで用いている。前胸壁から頸部に移動させるので,その距離には制限があるものの,手技が簡単で侵襲も少ないという利点がある。特に術後瘻孔閉鎖,気管孔閉鎖に有用な皮弁であり,本稿ではそれらの手技を中心に紹介する。
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