Japanese
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特集 頭頸部領域の温度外傷・化学的腐食の取り扱い
1.口腔・咽頭の温度外傷
1.Thermal burns of the oropharyngeal area
東川 雅彦
1
Masahiko Higashigawa
1
1大阪府済生会吹田病院耳鼻咽喉科
pp.23-28
発行日 2007年1月20日
Published Date 2007/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100810
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Ⅰ.はじめに
熱傷は,熱の直接作用により細胞レベルで蛋白質の変性と膜脂質の流動性の変化が生じ,その結果,生物学的活性が失われ,細胞機能も傷害されることにより生じる。温度外傷は,原因から分類した熱傷の1つのタイプである。
熱傷が皮膚に生じた場合の病態については,皮膚科あるいは救急医学の領域でよく整理されている1)。熱傷の深さと臨床像の対比,受傷した面積に深さを考慮した重傷度判定,いくつかの対策の指標などが提唱されている(表1)2)。
一方,口腔・咽頭領域の粘膜に生じる温度外傷は,軽症のものを含めると外傷のうちで最も頻繁に生じるものの1つといえる。それにもかかわらず,病理学的な動態,臨床像,治療の基準となる指標などは定まっていない。
口腔・咽頭粘膜の温度外傷の多くは自然治癒するため,全体として医療機関にかかることは少ないと考えられるが,重症度の判定を誤ると,思いもよらぬ合併症をきたすことがある。口腔・咽頭領域の温度外傷の患者に接した際には,早急に原因となった物質(状況)を確実にし,損傷の範囲,程度を把握し,対処法を決めるように努める必要がある。
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