特集 頸部リンパ節腫脹
1.頸部リンパ節の臨床解剖
齊藤 孝夫
1
,
加藤 孝邦
1
1東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科
pp.535-539
発行日 2005年7月20日
Published Date 2005/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100159
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Ⅰ.はじめに
頸部ではリンパ系が発達しており,各種炎症性疾患,悪性腫瘍の転移,悪性リンパ腫などの腫瘍性疾患に関連して腫脹をきたす。リンパ管は主として頭部・顔面・口腔・咽頭からのリンパを集め,頸部上方から下方へと流れ,左右の内頸静脈と鎖骨下静脈との合流点である静脈角に達する。臨床的には,治療方針を決定する際に,どの部位のリンパ節に病変が存在しているかを評価することが重要となる。
下行するリンパ節鎖は,従来2つの視点から系統解剖学的に分類1)されてきた。(1)分類①:前群と外側群に分ける。リンパ節が前正中部の内臓,ならびにその外側を走る太い血管に沿って発達することを重視した分類である。(2)分類②:浅群と深群に分ける。これは,舌骨下筋を含む頸筋膜の気管前葉(中頸筋膜)の層を境として,浅深2群に分ける分類である。
これら分類①および分類②の組み合わせにより,4群に分類している(表1)。筋・筋膜層を隔てたリンパ管の間に交通が生じにくいこと,筋膜がCTの断層像により描出されやすいことを考慮した分類となっている。
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