特集 眼科基本診療Update—私はこうしている
2.治療に必要な基本技術
眼表面・角膜疾患の治療
ドライアイの治療
戸田 郁子
1
1南青山眼科クリニック
pp.193-196
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907066
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はじめに
ドライアイは日常診療において1日に1人は遭遇する非常に頻度の高い疾患である。わが国においては以前はドライアイの概念が浸透しておらず,また診断法も確立していなかったため見過ごされやすい疾患であったが,近年,ドライアイの診断基準が統一され,不定愁訴を訴える患者の多くがドライアイと診断されるようになった。しかし,診断率が上がる一方で,その原因に基づく根本治療はいまだ確立されていないのが現状である。したがってドライアイの治療の基本は対症療法とならざるを得ないが,ドライアイがさまざまな要因によって起こる複合疾患であることを考慮し,各ドライアイのタイプ(発症機序)になるべく適した治療法を選択することが大切である。
ドライアイは大きく涙液水層の不足(aqueoustear deficiency)と蒸発過剰(evaporative dry eye)に分類される。前者はシェーグレン症候群に代表され,後者には涙膜破壊時間(tear film breakuptime:BUT)短縮タイプのドライアイや,マイボーム腺機能不全(meibomian gland dysfunction:MGD)に合併するドライアイなどが含まれる。本稿ではこれら代表的なドライアイのタイプに対する治療法につき紹介する。
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