今月の表紙
酵母型真菌による白内障手術後眼内炎
内尾 英一
1
,
大野 重昭
1
1横浜市立大学眼科
pp.132
発行日 1999年2月15日
Published Date 1999/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906189
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白内障手術後眼内炎は,通常急性の経過をとり,細菌によることが多い。良好な視力を得るために早期の硝子体手術が行われているが,真菌による術後眼内炎の報告は稀である。
症例は70歳,特に内科的疾患のない男性で,超音波水晶体乳化吸引術および眼内レンズ挿入術後3年目に硝子体混濁が生じた。10か月経過しても改善せず,軽度の虹彩毛様体炎および眼内レンズ辺縁に沈着物(上図)がみられた。眼底下方に網膜剥離もみられたために硝子体手術を行った。原因裂孔は9時にあり,摘出された眼内レンズ表面から走査型電子顕微鏡にて酵母型真菌が同定された(下図,表紙)。術前および術中に採取された前房水および硝子体からは細菌・真菌は分離されなかった。術後,網膜は復位した。白内障手術後眼内炎の病因には,真菌も考慮する必要がある。
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