特集 オキュラーサーフェスToday
Ⅱ ドライアイとオキュラーサーフェス
ドライアイの病態と診断のすすめ方
山田 昌和
1
1慶應義塾大学医学部眼科学教室
pp.64-67
発行日 1997年10月20日
Published Date 1997/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410905600
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1.定義と概念
ドライアイという病名は眼科医の中だけでなく,広く人口に膾灸するようになったが,その定義というと曖昧な部分が残っている。ドライアイという概念を涙液減少症と捉えるか,乾性角結膜炎と捉えるかによって,定義や疾患概念が異なってくるからである。涙液減少症は「涙液に量的または質的な異常があり角結膜障害の有無を問わない」,乾性角結膜炎は「涙液の量的または質的な異常による角結膜上皮障害」という疾患概念である。この場合,涙液減少症は乾性角結膜炎を含み,潜在性(サブクリニカル)なものや間欠性のものをも包括した幅広い概念ということになる(図1)。潜在性あるいは間欠性という意味は,普段は無症状であるが,手術などの侵襲やVDT作業,コンタクトレンズ装用などの負荷が加わったときに症状が表に出てくるということである。個人的には,ドライアイ=涙液減少症とするのは範囲が広くなりすぎるきらいがあるので,疾患概念としてはドライアイ=乾性角結膜炎と考えておいたほうが良いと考えている。ただし,実際の日常診療では,その背景にある涙液減少症という概念を考慮に入れてドライアイの診断にあたる必要があると思われる。
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