今月の表紙
網膜色素線条に併発した円板状黄斑変性
清水 弘一
1
1群馬大学眼科
pp.1757
発行日 1996年11月15日
Published Date 1996/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410905148
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症例は62歳男子。側頸部・腋窩・肘関節屈側などの皮膚に弾力線維性仮性黄色腫がある。右眼の網膜色素線条として経過観察中に,黄斑下出血と線維増殖が次第に増強した。来院が4か月中断したのちに,強い硝子体出血が生じた。8週間が経過しても硝子体出血が消褪しないので,硝子体手術が行われた。術中・術後の所見として,黄斑部の網膜下血管新生,陳旧化した広範な網膜下血腫,および黄斑の耳側下方に半月形の大きな網膜色素上皮裂孔が発見された。視力は,術前が光覚弁,現在が手動弁である。
強い硝子体出血では,糖尿病網膜症を除くと,網膜裂孔形成と古い網膜静脈分枝閉塞症とが2大原因であるが,血腫型の円板状黄斑変性によるものが最近では増加している。網膜色素線条に円板状黄斑変性が併発し,さらにこれが巨大な網膜下血腫に発展し,これが硝子体出血となった例である。このページに掲げたのは,表紙のカラー眼底に対比する螢光眼底造影所見。
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