特集 眼科基本診療—私はこうしている
緊急処置の実際
コンタクトレンズによるトラブルの処置と患者指導
水谷 由紀夫
1
1水谷眼科診療所
pp.178-180
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410900925
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ガス透過性ハードレンズ(RGP)の普及につれ緊急処置を要するトラブルは非常に少なくなったが,閉瞼時ハイポキシアによる角膜浮腫を生じる連続装用や,代謝老廃物がCL外に十分排出されないソフトCL (SCL)使用時には,角膜が十分に健康な状態を維持しているとはいえず,日和見感染を起こしやすい環境ともなっているので常に注意が必要である。RGPでは角膜知覚は比較的正常に保たれ異常は疼痛や異物感として早期に自覚され,早期治療が期待でき重篤となるものは少ないが,SCLには眼瞼の刺激から角膜をまもるバンデージ効果があるため異常の自覚が遅れ,治療開始の時期も遅れることがあるので注意を要する。CLによる眼合併症の原因には,眼の生理的環境の変化という背景とレンズデザイン,フィッティング,汚れ,ケア溶液,生活環境等の外的因子もあり,治療に際しては原因を推察することが重要である。幸いCLでは所見からその原因を推察でき早期治療に役立つことも多い。以下,特徴的なトラブルあるいは特に注意を要するものについて述べる。
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