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あとがき
稲谷 大
pp.1372
発行日 2023年10月15日
Published Date 2023/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410214949
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ヒヤリとする事件に遭遇しました。JR京都駅で福井へ向かう特急サンダーバードの1両目に乗り込もうとしたところ,車両の入り口付近に設置されている車両操作スイッチパネルの扉が鍵閉め忘れで開いたままになっていることに気づきました。ドアから身を乗り出して,駅員や車掌に大声で手を振りながら,その異常を知らせようとしましたが,誰にも気づかれません。そうこうしているうちに「ドアが閉まります」のアナウンスが入り,身体のド真ん中でドアに挟まってしまいました。半ドアに気づかないまま「発車します」というアナウンスがあり,「これはエライことになった!」と叫びまくるも駅員も車掌も気づかず,最後はホームにいたお客さんが堪りかねて運転士に異常を知らせてくれたおかげで,事なきをえました。電車は3分遅れで出発し,車掌さんが私の座席のところへやって来たので,事情を尋ねてみたところ,なんと1両目は車掌側からは見えないので安全確認できないとのこと! 代わりに,駅員が確認するか,ホームのカメラで確認していないのかな?
パネル扉の鍵閉め忘れ,車掌の安全確認漏れ,駅員の安全確認漏れ,半ドア確認漏れ,事故のあった乗客への連絡先聴取漏れ,などなど,病院でのオカレンス事象でもありがちな幾つもの抜けが重なって今回のような間一髪のヒヤリハットになったのではないかと思いました。最近,人身事故で列車のダイヤが乱れることをよく経験しますが,私が経験したようなオカレンスで犠牲になっている人が実は結構いるのではないでしょうか。本号に,私への追悼文が掲載されるようなことにならないでよかったです。
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