Book Review
英和・和英 眼科辞典 第2版
辻川 明孝
1
1京大大学院・眼科学
pp.1098
発行日 2021年8月15日
Published Date 2021/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410214074
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
人は外界からの80%以上の情報を視覚から得ているといわれており,視覚は眼球という器官で受容されます。眼球は直径24mmの小さな器官ですが,結膜,角膜,水晶体,ぶどう膜,硝子体,網膜,視神経などの多くの組織から構成され,独自の役割を持ち,協働しながら視覚情報を得るために機能しています。各組織にさまざまな臨床所見があり,病態があり,病気が生じ得ます。視覚情報に対して人は非常に敏感ですので,わずかな視力の低下,少しの像のゆがみ,色の違い,大きさの違い,目のかすみなどに,すぐに気が付きます。また,小さな異物が入っただけでも角膜の表面に傷がつき異物感を感じるなど,痛み,痒みなどの刺激にも敏感です。そのため,眼球には非常に多くの病気が存在し,詳細に分類されています。先人のたゆまない観察・研究の蓄積により多くの病気が発見され,病態が解明されてきたのです。
また,眼科診療はものすごいスピードで進化しています。眼科は眼底写真,光干渉断層計,造影検査などの画像検査を多用するため,検査機器の進歩とともに新たな病態・所見が明らかになり,診療に生かされてきました。現在の診療レベルと20年前の診療とではまったく異なったモノになり,眼科の種々の分野別の専門化が進んでいます。そのため,恥ずかしながら,私も自分の専門分野以外のことはあまりわかりませんし,専門分野でも最新のことをすべて網羅できているとはいい難いです。
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.