Japanese
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連載 蛍光眼底造影クリニカルカンファレンス・第5回
網膜動脈閉塞症
Retinal Artery Occlusion
小暮 朗子
1
Akiko Kogure-Katakura
1
1東京女子医科大学眼科学教室
pp.660-670
発行日 2016年5月15日
Published Date 2016/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211792
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疾患の概要
網膜動脈閉塞症(retinal artery occlusion:RAO)は,視神経内の網膜中心動脈に閉塞が起こる網膜中心動脈閉塞症(central retinal artery occlusion:CRAO)と,網膜内の網膜動脈分枝に閉塞が起こる網膜動脈分枝閉塞症(branch retinal artery occlusion:BRAO)に分類される。いずれもその支配領域の網膜内層虚血により,突然の重篤な視機能障害を生じる。閉塞の原因として最も多いのは塞栓であるが,若年者では抗リン脂質抗体症候群や血管炎などの基礎疾患が背景にあることが多い。急性期には網膜内層の凝固壊死により浮腫が生じるが,発症から4〜6週後には萎縮により菲薄化する。98分以上網膜循環が途絶すると,不可逆的な網膜内層の萎縮が生じると報告されている1)。
フルオレセイン蛍光眼底造影検査(fluorescein angiography:FA)では,蛍光充盈の遅延や欠損などにより閉塞の程度や部位を確認することができる。CRAOは,通常,視力予後が不良なので,積極的な経過観察が行われないこともあるが,稀に血管新生緑内障が発症することがあり,慢性期においてもFAを用いた観察が有用となる2)。
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