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角膜,他
樋田 哲夫
1
1杏林大
pp.384-385
発行日 1988年4月15日
Published Date 1988/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210335
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糖尿病患者に対する眼内手術後の角膜上皮障害が約10年前から注目されるようになり,上皮障害はdiabetic keratopathyとして特に誘因なしでも発生することが知られるようになった.特に硝子体手術時には眼底の透見をよくするためにやむなく上皮を剥離することがしばしばあり,術後の上皮再生不良に悩まされることが多い.アルドース還元酵素が糖尿病における上皮障害に関与していることが示唆され,実験的にその阻害剤(ARI)が糖尿病ラットの上皮再生を促進することが知られている.著者らは増殖性糖尿病性網膜症に対する硝子体手術時の上皮剥離が誘因となったと思われる術後の再発性上皮びらんと,特に誘因のない重症の上皮障害の糖尿病患者各1例に対して新しいARIであるCT-112を点眼することによって好結果を得た.通常の治療に抵抗したこれら2例は点眼開始後2-4週後から著明な症状の改善を示した.点眼の中止によって上皮障害は再発したが再び継続することにより長期間再発をみることなく経過している.今後のclinical studyが期待される.
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