GROUP DISCUSSION
弱視・斜視
中川 喬
1
,
有本 秀樹
,
山本 節
,
野崎 尚志
,
田淵 昭雄
1札幌医大
pp.388-392
発行日 1985年3月15日
Published Date 1985/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410209384
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1.先天性上斜筋欠損と思われる1例
我々は先天性の上斜筋形成不全あるいは欠損と思われる1例を経験したので報告する。
症例は12歳女児,術前他覚的斜視角は左眼(健眼)固視,遠見5△×T,R/L30△,眼球運動は右眼上斜筋の遅動および下斜筋の過動を呈し,頭位異常としては「左かしげ」約20°が認められ,BHTTは陽性,Maddox dou-ble rod testでは廻旋偏位はなかった。他覚的斜視角に対しプリズムを中和すると上下の複視が自覚され,上下方向の網膜異常対応が示唆された。手術効果を予測するためにプリズムを用いて斜視角を中和し,手術直前まで7日間装用させたところ,複視(±)でときどき正常な両眼視も認められた。他覚的斜視角を全矯正する目的で,第1回手術として,右眼上斜筋縫縮を予定した。術中,上直筋の耳側で上斜筋の起始部を探索するも上斜筋は見つからず,さらに上直筋の鼻側も探索したが,上斜筋は認められなかったため,術式を右眼下斜筋後転8mmに変更した。術後R/L20△が残り,残余斜視角に対しプリズムを中和すると,初回手術前同様,上下の複視が自覚された。複視が自覚されない範囲で最大の矯正をするため,節2回の手術として,右眼上直筋後転4mmを施行した。術後R/L8△となり,Bagoliniの線条レンズでは異常融像が認められ,頭位の異常も「左かしげ」約10°に改善された。
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