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緒言
「弱視と云う名を完全に消滅させることが,眼科学の最も大きな任務の一つである」とは,萩原教授が常に説かれている処である1)。即ち古代に於ては,すべての視力障碍は弱視の名で呼ばれていたが,検査法の進歩に伴い,その中から逐次新らしい病名を持つた疾患が分離されて行つて,往昔弱視と称せられていた診断名で,今日殆んど用いられなくなつているものが少なくない。然し現在尚弱視と呼ばれている視力障碍があり,今や吾々の努力は,これ等残された一群に向けられなければならない。諸外国ではこれ等に関する厖大な研究が行われていて,特に治療面では劃期的な進歩を遂げている。然し我が国に於ては,弱視を主題にした系統的研究は皆無であり,早急な対策が望まれる。このような目的の下に弱視の研究に着手し,若干の知見を得たので報告しようと思う。
観察対象は,東大病院眼科外来を訪れた患者の中,次に述べる定義に合致した弱視81例で,内訳は内斜視51例,外斜視11例,著明な斜視のないもの(非斜視)19例である。
The authors examined 81 cases of amblyopia and obtained the following results.
1. The cases in which the abnormality of the visual field will appear in the amblyopic eye unilaterally are due to the disturbance of vision caused not by the depression but by the eye disease that brings about scotoma.
2. The cases of complete central fixation of the eye are due to mainly disturbance of vision caused by the organic disease or highly refractive errors of the eve.
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