談話室
弱視児の指導—小児眼科医として
湖崎 克
1
1大阪医大眼科
pp.1173-1179
発行日 1964年10月15日
Published Date 1964/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410203048
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I.はじめに
我々は眼科医として毎日診療にたずさわつている。外来で患者の検査をしてその成績より診断を確定しそれに適切な治療を加えている。この診療といつた医療行為には何等問題はないのであるが,診療の後に来るいくつかの問題には考えねばならぬことが多い,例えば学校養護教諭より視力障害の故に精密検査を希望して紹介された患者があり,その結果残念なことに弱視治療の適応外の両眼小眼球の弱視児であつたとする。この場合眼科医は通常その保護者と養護教諭にその患者の視力障害を眼科最新治療を以つてしても治すことのできない旨を伝えるにとどまつているであろう。
筆者はその態度を眼科医として疑問に思つている。何故ならば,その眼疾患の治癒の可能性のみを論ずるのでは生きた医療とは決していえない筈である。その眼疾患を治すことができないものと判定したら,その後に来る多くの問題に適切な指導を行なつて欲しい。例えばその教育をどのような場でどのように行なうのがよいか。又,将来の職業は何を選べばよいか等である。それがリハビリテイションである。
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