私の經驗
頭部外傷と眼所見
桑島 治三郞
1
1東北大分院眼科
pp.465-467
発行日 1951年7月15日
Published Date 1951/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200900
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〔Ⅰ〕
少し大げさに言えば自殺未遂か他殺未遂かが問題になつて話題を賑わした事件で,眼科所見が決定的役割を演じたと言う私の經驗である。
事件は1950年9月18目(月曜)の早朝,急患だと言うので内科當直醫が叩き起された事に始まる。正私服3名の警官に擔ぎ込まれたのは,まだ童顔の殘つている若者で,汚れたシヤツにズボン姿で昏々として眠つている。警官の語る處によると,今朝未明市内の廣瀬川あたご橋の土堤に,兩眼を眼かくしゝて膝を繩で結んだ儘,樹の幹に倚り腰を下した姿勢で昏睡している此の若者を發見し,取敢ず附近の内科醫に診せたがアドルム自殺未遂だろうとの事で,助かるまいと言われたと言う。
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