特集 図で早わかり 実戦!眼科薬理
本書のねらいと使い方
中澤 満
1
1弘前大学
pp.3
発行日 2013年10月30日
Published Date 2013/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410104966
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医療行為とは患者の受診があってはじめて開始されるものであり,医療側の好みによって患者を選ぶことは通常不可能である。したがって,医療者側には患者が提示するさまざまな病的状態に可能な限り対応できるような不断の準備と努力が要求される。しかも医学は時代とともに進歩するので,医師としての研鑽は必然的に生涯にわたる。眼科学は眼球とその付属器および視覚に関係する臨床医学分野であるが,その領域に生じる病態には炎症,腫瘍,循環障害,代謝障害,遺伝性変性,加齢変化,退行性変化などバラエティに富んだ病理変化が伴い,それらに対応する治療法には内科的治療,外科手術,レーザー治療など多岐に及ぶものがある。
本書の読者の多くは第一線で活躍される臨床眼科医であると思われるが,1人の眼科医が眼科学のすべての領域に精通することは現代の眼科学の進歩から鑑みてほぼ不可能ではないかと考えられる。それだけ情報量や技術量が膨大なものとなっているのである。したがって,いろいろな分野に精通した医師同士が連携し合いながらそれぞれの得意分野を分担して診療を進めていくのも望ましい姿であろう。しかし,現実には日本国中のすべての眼科医がそのような恵まれた環境で診療しているわけではない。眼科専門医制度では専門医には眼科学のほぼすべての領域である一定程度の水準を満たすことを義務づけている。これは最初に医療機関を受診する患者に対応する医師が誰であろうとある程度のオールラウンドな診断と治療の方向性を考慮できるようになるためであり,日本の眼科医の医療レベルを担保するための方策として意義がある。
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