特集 外科医のための最新癌薬物療法
序
本書の目的と使い方
瀬戸 泰之
1
1東京大学大学院医学系研究科消化管外科学
pp.4-5
発行日 2011年10月22日
Published Date 2011/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103777
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目 的
本書は「外科医のための」癌薬物療法の手引書です.あくまでも,手術の施行を前提とした構成になっています.薬物療法の進歩は著しく,そのすさまじさは,この書を一読していただければ実感されると思います.ただし,まだ外科的切除が唯一の根治治療であると明記されている癌腫もあれば,手術はmultimodalityのなかの1つという考え方をする癌腫もあるようです.そのニュアンスの差も本書から読み取れます.とにかく圧倒されるボリューム,内容になっています.
病期が進んでいる癌に対して,手術のみということはありえない時代になっています.したがって,癌に携わる医療者にとって薬物療法の知識は必要不可欠ですが,わが国においては腫瘍内科医の不足から,まだまだ多くの薬物療法が外科医のもとで行われているのが現状のようです.当然,外科医もその最新かつ最良の知識を持ち合わせていなければなりません.しかも,すべての癌腫において「化学療法前手術」あるいは「化学療法後手術」という言葉はなく,「術前」あるいは「術後」といったように手術が中心として考えられています.手術を実際に行う外科医も(外科医だからこそ),実際に施行するかどうかは別にして,薬物療法にも精通している必要があると考えます.そこで本特集では,外科医に最新の薬物治療の知識を持っていただき,かつ日常診療で活用していただくことを目的として編集しています.
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