特集 新しい時代の白内障手術
Ⅰ.感染予防
手術室環境と器具
山西 茂喜
1
1松山赤十字病院眼科
pp.30-34
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103392
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はじめに
白内障手術などの内眼手術後に生じる感染性術後眼内炎の発生頻度は,滅菌法などの感染予防が一般化することによって時代とともに減少してきている。白内障術式も水晶体囊外摘出法から超音波乳化吸引術へと切開創が小さくなり,それに伴い眼内炎の発症率は0.1%以下へと低下1~3)したが,発症すれば視力障害を残す例も多くあり,われわれ眼科医は眼内炎を根絶するための努力を惜しんではならない。
白内障術後眼内炎の起炎菌としては結膜や眼瞼皮膚の常在菌が多いとの報告4)があり,皮膚や結膜の消毒,ドレーピングなどが大事であることはいうまでもない。さらに,病院工事中のアスペルギルスによる白内障術後眼内炎5)などに代表されるように,手術室環境も術後眼内炎防止には非常に重要である。手術室の設計にあたっては,これら空調設備,洗浄水,器具の滅菌設備などの点についての知識が必要であるし,勤務医のように自らが手術室を設計しなくても,これらを知ることで現在の設備を十分に活用することが可能になると思われる。
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