書評
まんが 医学の歴史
坂井 建雄
1
1順天堂大医学部・解剖学
pp.850
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102264
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医学史を飾る先人たちの著作を手に取り,その事蹟を詳しく知ると,それぞれの時代のなかで医学を築き上げてきた英智と努力に心洗われる思いがする。古代ギリシャのヒポクラテスは,さすがに紀元前400年頃というだけあって,解剖や病気についての理解は表面的なものにとどまるが,「誓い」のなかに記された医師としての倫理には現代にも通じるものがある。ローマ帝国の2世紀に博学を誇ったガレノスの著作には鋭い論理の切れ味があり,解剖学の優れた観察をもとに古代の医学理論を集大成した業績は,あらゆる意味で西洋医学の原点である。
16世紀のヴェサリウスが著した『ファブリカ』の解剖図の圧倒的な迫力と人を魅了する芸術性は,人体の観察をもとに近代医学を再出発させた原動力であった。17世紀のハーヴィーによる血液循環論,18世紀のブールハーフェによる医学教育の革新が果たした役割については言うまでもない。
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