特集 眼感染症診療ガイド
コラム 眼感染症への取り組み・いまむかし
アデノウイルスとつきあって17年
日隈 陸太郎
1
1日隈眼科医院
pp.160-161
発行日 2003年10月30日
Published Date 2003/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101444
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感染症サーベイランスの眼科定点医として観測を始めて17年が経過した。アデノウイルスが発見されて50年,その1/3の年数をこのウイルスとつきあってきたことになる。
サーベイランス事業における眼科対象疾患は流行性角結膜炎(EKC),咽頭結膜熱(数年前から小児科領域のみの対象になっている),急性出血性結膜炎であるが,全国307の定点において約60%が臨床所見のみによる診断となっている。しかしサーベイランス事業の目的が対象疾患の発生,流行を的確に把握し,その予防対策を立てることにあると考えると,ウイルス学的診断が是非必要であると考え,熊本県衛生公害研究所(現熊本県保健環境科学研究所)の協力のもと1987年から対象疾患におけるウイルスの分離培養を開始した。この調査によってアデノウイルスの各血清型には症状や発症の季節,年齢などに型特異的な特徴が認められる傾向があること,また従来述べられていた教科書的な臨床所見とウイルスの血清型には必ずしも整合性がみられないことなど興味ある結果が得られた。
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