特集 眼感染症診療ガイド
I.眼感染症のトピックス
小児眼感染症の最近の動向
亀井 裕子
1
1東京女子医科大学附属第二病院眼科
pp.81-85
発行日 2003年10月30日
Published Date 2003/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101422
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はじめに
小児にみられる眼感染症は,結膜炎に代表される外眼部疾患が大半を占め,ほとんどが前眼部の疾患群であるという傾向は,過去から現在に至るまで大きな変化はない。しかしながら,原因微生物のパターンには若干の変化がある。いわゆる「新興感染症」「再興感染症」の存在がそれに相当する。例えば,細菌感染における起炎菌のパターンや,分離菌の薬剤感受性には変化がみられる。周知のように,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticilin resistant Stapylococcus aureus:MRSA)やペニシリン耐性肺炎球菌(penicillin resistant Streptococcus pneumoniae:PRSP)に代表される新たな耐性菌の出現は枚挙にいとまがないが,これらの菌による眼感染症は小児にも触手を伸ばしている。
また,近年の性感染症(sexually transmitted disease:STD)の蔓延に伴い,クラミジアや淋菌感染症の増加が懸念される。さらに,ペットとの接触や海外旅行の日常化により,トキソカラ症などの原虫感染症に代表される人畜共通感染症も問題視されている。
本項では最近の眼感染症の傾向を勘案して,外来診療で遭遇する頻度の高い眼感染症を中心にその概要を解説したい。
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