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この約10年間の間に,新生血管型(滲出型)加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)の疾患概念は,クラッシック型およびオカルト型脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization:CNV)以外にも拡大してきた。臨床所見,検査所見,病理学的所見から,網膜内血管腫状増殖(retinal angiomatous proliferation:RAP)とポリープ状脈絡膜血管症(polypoidal choroidal vasculopathy:PCV)といった疾患概念が明らかになってきている。これらは,特有の自然経過と治療に対する反応を有していることから,患者の管理を行う上で,CNVの分類にRAPとPCVという明確な診断名を追加することは重要である。
網膜内血管腫状増殖(retinal angiomatous proliferation:RAP)
RAPは網膜毛細血管の増殖と毛細血管拡張を伴うCNVの特異な亜型として最近認識されるようになった1)。1992年にHartnettら2)は,円板状瘢痕病巣に移行する前の滲出型AMDにおいて,網膜内での血管新生が早期病変として存在することをはじめて論じた。彼女らはこれを“retinal angiomatous lesion”と呼んだ。さらにこの病態は“deep retinal vascular anomalous complex(網膜深層血管異常複合体)”3),あるいは“retinal choroidal anastomosis(網膜-脈絡膜血管吻合)”4,5)との名称でも呼ばれていた。しかし,血管新生が網膜深層に限定しているわけではなく,また,網膜-脈絡膜血管吻合は末期像にみられるもので必ず生じる変化でもない。これらの臨床所見はLafautら6)の病理組織学的観察結果により支持された。滲出型AMDの他の形態と区別するため,筆者ら1)は,特に網膜新生血管が早期に発現すること,網膜毛細血管拡張,網膜-網膜血管吻合(retinal retinal anastomosis:RRA)の発生,網膜下腔への新生血管の進展,また,様々な程度で末期像にみられる網膜-脈絡膜血管吻合(retinal choroidal anastomosis:RCA)などの所見を特徴づけるため,RAPの名称を提唱した。
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