特集 エコー 診療マニュアル
胎児
49.呼吸様運動
佐川 典正
1
Norimasa Sagawa
1
1京都大学医学部産婦人科
pp.1474-1476
発行日 1991年12月10日
Published Date 1991/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409905014
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Real time B-scanによる胎児呼吸様運動(FBM)の観察(図1)
ヒト胎児のFBMは,1971年にBoddyら1)が超音波A-mode法を用いて胸郭の動きとして観察報告した。FBMの胸郭の動きは小さいので,A-mode法による観察では胎動との区別が付きにくく胸郭運動の検出が不正確になり易かった。その後,B-mode法の進歩にともなって,胸郭のみでなく横隔膜や腹壁の一連の動きとしてreal timeに観察できるようになった2)。図1は妊娠35週の正常胎児正中やや右側からみた胸腹部の矢状断面像である。胎児心臓(H)と肝臓(L)の間を仕切るように横隔膜(D)が認められる。FBMは,出生後に空気呼吸を行う場合とは異なり肺胞は拡張しない。したがって,横隔膜の下降運動と胸郭(T)の拡大(胸壁の前方への運動)とは一致せず30〜70cycle/minの速度で逆の動き(paradoxical respiration)をする。また,FBMに伴う胸郭内圧の変化に応じて肺のecho densityが変化するのも認められる。
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