今月の臨床 一歩先行く超音波胎児検診
妊娠中期
1.胎児形態異常スクリーニングの実際 ②胸部(含む心臓)
根木 玲子
1
1国立循環器病センター周産期科
pp.586-590
発行日 2001年5月10日
Published Date 2001/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904331
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はじめに
産科診療において,超音波断層法による胎児診断は欠かせないものとなってきた.しかし,漫然と検査していたのでは,胎児異常を見逃すことがある.当然のことながら,胎児は羊水中に自由に移動している.したがって頭位か骨盤位かなどの胎位・胎向によりどちらが胎児の右か左かを確認してから検査を行う必要がある.それにより,ミラーイメージの右胸心などの診断にもつながる(図1—a).また,胎児は新生児と異なり,胎児の肋骨,脊柱,小部分などの存在で超音波ビームが遮られたり,胎児を取り囲む環境,たとえば羊水量・胎盤の位置により診断に制約を受けることもある.したがって,胎児先天性心疾患スクリーニングは,羊水量が豊富で,しかも胎児心形態が確認しやすい妊娠23週から妊娠28週頃が最も胎児心臓スクリーニングに適している.
検査においては,卵円孔・動脈管などの胎児循環を頭に入れた上で,後述の胎児心臓基本7断面を描出しながら,血流の流れに沿って診断していく必要がある.たとえば,下大静脈,右心房,右心室,肺動脈,動脈管,下行大動脈といった流れに沿って描出していく.
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