今月の臨床 腹腔鏡下手術—知っておくべき最新情報
合併症と対応策
3.麻酔合併症
釘宮 豊城
1
1順天堂大学医学部麻酔科学講座
pp.286-288
発行日 2001年3月10日
Published Date 2001/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904283
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
腹腔鏡下手術は低侵襲性であり,そのため術後痛が少なく,早期離床,早期退院など,開腹手術に伴う多くの問題を回避できるという利点によりその進歩,普及はめざましいものがある.しかしながら,麻酔科的には必ずしも低侵襲とは言えない面もあり,特に呼吸器系,循環器系に与える影響は少なくなく,またその影響も開腹によるものとは多少質を異にし,麻酔科医の直面する問題,それらに対する対処方法も通常の開腹手術とは異なった面を有する.したがって,麻酔合併症においても,ほかのすべての手術の麻酔に共通するものと,腹腔鏡下手術に特徴的なものがあるが,本稿では主に後者について言及するが,前者に関するものも一部言及する.
腹腔鏡下手術には気腹式と吊り上げ式があるが,前者による主な全身的影響としては腹腔内圧上昇,使用ガス,体位による3つが原因として挙げられ,後者では体位による影響と視野確保の問題がある.呼吸循環器系に及ぼす影響の大きさから,合併症の発生は気腹式のほうが多いのは明白である.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.