今月の臨床 無痛分娩・和痛分娩
諸外国における無痛分娩の現状
2.フランス
古屋 幹郎
1
1古屋産婦人科医院
pp.980-982
発行日 2000年8月10日
Published Date 2000/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904100
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はじめに
フランス革命200年記念の年の夏(1989年)に初めてパリを訪れ,10日間滞在した.その折に出会ったフランス人や現地在住の日本人がla pér—idurale(英語ではepiduralを頻用)という麻酔の専門用語をよく知っていることに驚き,フランスにおいていかに広汎に硬膜外麻酔分娩(以下,硬麻分娩)が普及しているかを感じ取ることができた.
その後もいく度かフランス各地を訪れ,個人的に女性通訳をお願いして,産科臨床の現場を見学したり,分娩経験のあるご婦人方から体験談をうかがったりしたが,本誌の性格上,個人的な見聞録を随筆風に綴ることは適切でないと考えるので,まず第一にフランスで発行された妊産婦向けの指導書1,2)の中で無痛分娩がどのように解説されているかを紹介し,次いで昨年麻酔学会への出席のため来日された麻酔科のDr.Dan Benhamouによる「フランスにおける産科麻酔」という,けいゆう病院講堂(横浜,1999年6月8日)における講演の抄録3)を紹介させていただくことによって責めを防ぎたい.フランスと特定した場合,邦人医師による文献は西島ら4)によるもの以外には見当たらないようである.
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