症例
高度の新生児貧血を呈した胎児母体間輸血症候群の1例
林 嘉信
1
,
高山 俊弥
1
,
今井 昌一
2
,
魚住 友彦
2
,
関 真人
3
,
高橋 保彦
3
1新日鐵八幡記念病院産婦人科
2新日鐵八幡記念病院小児科
3九州厚生年金病院小児科
pp.225-228
発行日 1999年2月10日
Published Date 1999/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903552
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胎児母体間輸血とは胎児血が破綻した絨毛から絨毛間腔を満たす母体血中へ出血する病態であり,重症例では児の死亡の原因ともなるものである.今回われわれは,高度の新生児貧血を呈した胎児母体間輸血症候群の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は38歳の初産婦で,妊娠39週に胎児心拍陣痛図の異常のため,帝王切開で2,740gの男児を娩出した.児は出生後にhemoglobin 5.2g/dl(再検値4.8g/dl)と高度の貧血と呼吸障害を呈し,母体血中hemoglo—bin Fおよびalpha-fetoproteinが高値を示したことにより,胎児母体間輸血と診断された.児は濃厚赤血球輸血と人工換気による呼吸管理により救命でき,生後5か月まで後遺症なく経過している.
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