今月の臨床 性の分化とその異常—どこまで解明されたか
性分化の遺伝子・分子機構
3.中枢の性分化
新井 康允
1
1順天堂大学医学部医学教育研究室
pp.42-45
発行日 1999年1月10日
Published Date 1999/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903505
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
神経内分泌調節や性行動にみられる脳の機能的性分化については,ラットなどの多くの実験動物の結果から,周生期の精巣から分泌されるアンドロゲンが脳に働くことによって,下垂体前葉からのゴナドトロピン(Gn)分泌パターンや性行動パターンの性分化の決め手になっていることが明らかにされている.
ラットなどの場合は,アンドロゲンはそのままの型でニューロンに作用せず,ニューロン内の芳香化酵素の働きで,テストステロンがエストラジオールに転化してから作用する場合が多いとされている.ヒトを含む多くの動物の胎児の視床下部や大脳辺縁系において,芳香化酵素活性が高いことが知られており,ヒトを含む霊長類でも同様なことが起こっている可能性は高い.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.