今月の臨床 性の分化とその異常—どこまで解明されたか
性分化のOverview
1.最近のトピック
星 信彦
1
,
半田 康
1
,
藤本 征一郎
1
1北海道大学医学部産婦人科
pp.10-19
発行日 1999年1月10日
Published Date 1999/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903498
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哺乳類では,ゲノムあたり5〜10万の遺伝子があるといわれ,これに基づいて多種多様な細胞・組織・器官からなる統合体としての個体が形成される.
個体形成過程には当然,雌雄の分化も含まれる.性分化は個体発生過程における種々の器官における雌雄差,すなわち性差の発現の集積結果と解釈される.雌雄差の発現が滞りなく各器官,組織の細胞で行われるためには統一だった制御システムが必要で,そのシステムはおそらく一見複雑にみえても内実は単純なものであろうと考えられる.複雑すぎれば錯誤が多く,高度な分化さらには進化に多大な支障ないしは偏位をきたすからである.ヒトにおける性分化制御システムに関しては,現在までのところ絶対に正しいとする定説がない.このことは多岐にわたる種々の性分化異常症のすべてを説明しうる画一的概念が存在しないという意味で,性分化機構のすべてがまったく不明というわけではない.
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