CURRENT RESEARCH
イムノグロブリン結合因子
鎌田 正晴
1
,
青野 敏博
1
1徳島大学医学部産科婦人科
pp.97-104
発行日 1998年1月10日
Published Date 1998/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903157
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留学中のRockefeller大学Koideラボでの話.抗精子抗体の認識する精子抗原の同定を試みて,健常人(筆者であるが)血清IgGを対照として,抗精子抗体陽性血清IgGを用いてひたすら精子抗原のウエスタンブロットを行っていた.抗精子抗体にのみ反応するいくつかのバンドの他,対照血清も含めてどの血清とも強く反応してくるバンドを認めていたが,はじめはノンスペと無視していた.ある日何かの文献を読みながら,あのバンドはFcレセプターかも知れないとふと思ったのがきっかけで本稿で述べるイムノグロブリン結合因子(Koide博士命名)の研究が始まった.可溶性のFcレセプターが抗体産生を制御することはよく知られており,筆者の進めてきた一連の研究の主要テーマ,抗精子抗体による免疫性不妊症の病態解明,治療法の開発に加えて,抗精子抗体の産生機序を解くキーになる研究と期待している.
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