連載 産婦人科クリニカルテクニック
ワンポイントレッスン—私のノウハウ
胎児採血Fetal Blood Samplingのコツ
石川 薫
1
1名古屋第一赤十字病院産婦人科
pp.419
発行日 1997年4月10日
Published Date 1997/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902904
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本邦でも羊水穿刺は実地臨床で普及した感があるが,依然として胎児採血は特殊な合併症の多い検査と考えられがちである.しかし,解像度のよい超音波診断装置を有し,基本を守れば必ずしも難易度の高い手技ではない.以下に,筆者らの胎児採血で配慮しているポイントを紹介する.
まず,前壁胎盤の際は,臍帯が胎盤に入る部位の臍帯静脈を採血部位とする.筆者らは,HewlettPackard 77020Aセクター式超音波診断装置のプローブに,HP21285A variable-angle needleguideを装着して胎児採血を行っている.穿刺針には切れのよい23G PTCD針(トップ)を推奨したい.穿刺のコツは,躊躇することなく一気に穿刺することである.おずおずとした穿刺は,羊水穿刺にもみられるテントと同じ機序で,超音波映像上は針先が臍帯静脈に入っているのに,絨毛間腔の母体血採取に終わる(胎児血と母体血の鑑別はMCVを参考にするとよい).また,気持ちが入りすぎてプローブを母体腹壁に押しつけ気味となり,超音波映像にブレが生じて,穿刺に失敗する初心者をよく見かける.プローブは意識的にソフトにタッチするのがコツである.
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