連載 シリーズ 胎芽の発育と形態形成・11
腎臓と性腺の分化
塩田 浩平
1,2
1京都大学医学研究科生体構造医学講座(形態形成機構学)
2京都大学医学部附属先天異常標本解析センター
pp.1359-1361
発行日 1996年11月10日
Published Date 1996/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902709
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泌尿器系と生殖器系は機能的に全く異なる器官系であるが,初期発生においては両者が密接に関連し合って発生する.胎生第4週初め,頸部に近い高さの中間中胚葉に腎節nephrotomeとよばれる細胞集団が発生し,そこで糸球体glomerulusと腎細管nephric tubuleが形成される.各糸球体は背側大動脈の枝である毛細血管によって作られ,ボウマン嚢につながる腎細管の遠位部が縦につながって中腎管(ウォルフ管)mesonephricduct(Wolffian duct)ができる.中腎管は第4週終わりまでに排泄腔cloacaへ開口する.
下等動物では頭方の前腎pronephrosから胸腹部の中腎mesonephrosへと順に形成が進むが,ヒトでは前腎は痕跡的に出現するにすぎない.中腎細管のほとんどと中腎の糸球体も胎生2か月末までに消失するが,中腎管と,それに隣接して体腔上皮の陥入によってできる中腎傍管(ミューラー管)paramesonephric duct(Müllerian duct)が残り,これらから男女生殖管の主要部分ができる.
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