今月の臨床 産婦人科エコー診断—撮り方,読み方のこつとポイント
正常妊娠
5.胎児Fetal Biophysical Profile Score(BPS)
前田 博敬
1
1九州大学医療技術短期大学部
pp.474-476
発行日 1996年4月10日
Published Date 1996/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902493
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BPSの概念と評価法
成人のvital sign,あるいは新生児でのアプガースコアを用いて健常性を評価する方法は,ひとつのBiophysical profile scoringである.胎児においては,1960〜1970年代の研究1,2)によって,心拍数変動は中枢神経系の発達およびその活動性と密接な関連を有することが明らかとなり.ひとつのbiophysical variableであるとの認識から現在はNSTやCSTに応用されている.しかしながら,この方法は妊娠週数や胎児中枢神経系の日内リズムの存在によって,短時間の観察では偽陽性率が高くなることが問題となった3,4).
このような背景からManningら5)は,動物実験および超音波断層法を用いたヒト胎児の観察から.低酸素状態や疾病胎児では体幹,四肢の運動および呼吸様運動が減少すること6,7),さらに子宮内発育遅延例では羊水量が減少すること8)に着目した.このことからNSTに呼吸様運動,体幹の運動,四肢の運動および羊水量を加えた5つの項目からなるBPSを考案した(表1).実際には,前記の5項目を定量的に評価し,おのおのの指標に対して正常では2点異常では0点を付加して,総得点をbiophysical scoreとする.
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