原著
当科における自己血輸血115例の検討
谷本 博利
1
,
藤井 恒夫
1
,
木岡 寛雅
1
,
中田 奈央
1
,
中川 仁志
1
,
松尾 光将
1
,
谷岡 慶英
1
,
内藤 博之
1
1国立呉病院・中国地方がんセンター産婦人科
pp.1563-1566
発行日 1995年11月10日
Published Date 1995/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902343
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婦人科腫瘍手術症例115例に対し,種々の副作用を伴う同種血輸血を回避する目的で,貯血式自己血輸血を施行しその有用性について検討した.また,115例の内24例については貯血時にrecom—binant human erythropoietin(rH-EPO)を使用した.rH-EPO非使用例では術中出血量600ml未満の場合全例に同種血は必要なく,600から1,200ml未満の場合は4.5%(2/44)に,1,200ml以上の出血でも30.8%(4/13)に同種血追加を必要としたのみであった.また,rH-EPO使用例では全例800mlの貯血が可能で貯血後のヘモグロビン値の低下も抑制され,出血量が600から1,200mlであった11例と1,200ml以上であった1例を含め全例で同種血輸血が回避できた.これらの結果から自己血輸血は同種血輸血の回避に有用であり,rH-EPOを使用することでさらに同種血輸血率を低下させることが可能であると考えられた.
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