症例
卵巣甲状腺腫性カルチノイドの1例
今井 俊彦
1
,
盛合 佳代
1
,
葛西 真由美
1
,
飯田 肇
1
,
鈴木 博
1
,
高山 和夫
2
,
冨地 信和
2
1岩手県立中央病院産婦人科
2岩手県立中央病院病理科
pp.1425-1428
発行日 1994年11月10日
Published Date 1994/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901972
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卵巣のstrumal carcinoidはきわめてまれな腫瘍であり,dermoid cystなどに合併し偶然に発見されることが多い.今回,本腫瘍の1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
症例は74歳,術前検査では腫瘍マーカーに異常を認めず,CT, MRIで石灰化および充実性部分を含む多房性嚢腫を認めた.術中の肉眼所見では粘液を入れた嚢腫部分,黄色調の充実性部分および毛髪を含むteratoma部分を認めた.病理組織化学的には,粘液分泌性円柱上皮,石灰化を伴うder—moid部分,colloidを含む甲状腺組織およびtrabecular patternのcarcinoid部分から構成され,carcinoid細胞はGrimelius染色陽性,Fontana—Messon染色陰性,EGC陽性,NSE陽性であった.本腫瘍は,比較的予後は良好であり必ずしも後療法は必要としないが,再発例の報告もあり十分なfollow upが必要と考えられる.
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