今月の臨床 婦人科外来検診マニュアル
F.内分泌・不妊
40.多毛の診断
村瀬 隆之
1
,
森 宏之
1
1帝京大学医学部産婦人科
pp.500-502
発行日 1994年4月10日
Published Date 1994/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901702
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概要
多毛症は,その本態が毛嚢の増生hyperplasiaではなく,軟毛の肥大hypertrophyあるいは硬毛化terminal transformationである.一般に非性毛の多毛症をhypertrichosis,女性にみられる男性型の多毛症をhirsutismとよんで両者の区別をする.また多毛症の判定には人種差,性差,家系差を考慮する必要がある.わが国でもアイヌに多毛が多いとされ,一般にコーカサス人は多毛であり,蒙古人やアメリカインデアンなどでは毛が少ないといわれている.
また特発性多毛症は女性の皮膚にみられ,本来軟毛であるべき体毛が,硬毛になるものをいう.女性では通常陰毛,腋窩以外は軟毛であるが,その他の部位,顎,頬,前胸部,乳輪,前腕部,臍から恥丘にいたる中心線下腹部,背下部,殿部,肛門周囲,大腿,下腿などに硬毛を生じることがあり,これを多毛症と称する(Ferriman).
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