今月の臨床 IUGR診療
IUGRの病態
9.胎児の慢性低酸素症
矢野 正浩
1
,
岡村 州博
1
,
矢嶋 聰
1
1東北大学医学部産婦人科
pp.280-281
発行日 1994年3月10日
Published Date 1994/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901641
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子宮内胎児発育遅延(IUGR)は,染色体異常,重症妊娠中毒症,膠原病などでみられるほか,いわゆるnormal smallの存在など母体・胎児・胎盤要因が複雑に絡みあって起こる.その中でも慢性胎児低酸素症によるIUGRは,症例数も多く,児の予後にも影響が大きいため臨床的に重要である.
当科では,IUGRに対して積極的に胎児採血を行い,胎児の染色体および血液ガスを中心とした血液学的所見を調べている.図1は,当科で施行した胎児採血例における△PO2(臍帯静脈血酸素分圧の実測値と基準値との差)と△体重(超音波による推定体重と標準体重との差)を比較したものである.推定体重からのデータではあるが,△PO2が15mmHg以上の病的低酸素を示すものはほとんどIUGRであり,重症の胎児慢性低酸素症ではIUGRはほぼ必発といえる.
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