今月の臨床 治療にてこずる感染症
MRSA
19.未熟児のMRSA敗血症
近藤 乾
1
Tutomu Kondo
1
1福岡市立こども病院新生児科
pp.1091-1093
発行日 1993年9月10日
Published Date 1993/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901444
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かつては,未熟児死亡の三大原因として感染,RDS,頭蓋内出血が挙げられていたが周産期管理の向上,人工サーファクタントの臨床応用などとともに,最近では未熟性と感染が死亡原因としてクローズアップされてきた。とくに超未熟児における敗血症は,その量的質的予後に大きな影響を与える点で重大である。ある時期を経過すれば発症頻度や重症度が急激に低下する他の多くの疾患と異なり,感染症は人工換気や経静脈栄養などの治療を必要とする限り逃れることのできない問題である。未熟児の敗血症に占めるMRSAの比率が増加しつつあることは,数多くの研究者によって報告されている。ただ,NICUにおけるMRSA検出率の爆発的な増加1,2)の割に実際の感染の比率は少ない。このことはMRSA対策を考えるうえで重要である。MRSAを減らそうとする努力は重要であるが,一方では,共存という立場から実際の感染にいかに対処するかという認識が必要だからである。
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