症例
NACとしての動注療法が有効であった子宮頸部clear cell adenocarcinomaの1例
藤原 葉一郎
1
,
藤田 誠司
1
,
伊藤 良治
2
Yoichiro Fujiwara
1
,
Seiji Fujita
1
,
Ryoji Ito
2
1国立舞鶴病院産婦人科
2京都第一赤十字病院産婦人科
pp.1019-1022
発行日 1993年8月10日
Published Date 1993/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901424
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子宮頸部dear cell adenocarcinoma, stage Ⅱbの患者に対してneoadjuvantchemotherapy (NAC)として多剤併用動注療法(CDDP 70mg, ADM 40mg, MMC20mg.5—FU 500mg)を2クール施行した。施行前に11, 809U/mlであったCA 19-9は有意な低下を示し,施行後の画像診断で腫瘍の縮小率は67.7%(MRI矢状断像)であった。この後広汎子宮全摘出術を施行したが病理診断にてリンパ節への転移を認めたために,術後CAP療法(CDDP 600mg, Epi-ADM 50mg, CPA 500mg)を2クール追加した後,現在外来観察中である。
子宮頸癌で本来手術適応外であるⅢ期,Ⅳ期症例や,扁平上皮癌に比較して放射線感受性が乏しくコントロールが困難とされている頸部腺癌症例に対して,NACとしての動注療法を施行することは,down stagingによるcurative operationを可能にし,その予後を向上させ得る可能性が示唆され,子宮頸癌治療における有用な手段の一つであると考えられた。
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