今月の臨床 良性卵巣腫瘍—治療方針
診断
卵巣嚢腫の鑑別
8.内分泌診断
斎藤 裕
1
Hiroshi Saito
1
1昭和大学医学部産科婦人科
pp.262-263
発行日 1993年3月10日
Published Date 1993/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901202
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ホルモン産生腫瘍には顆粒膜細胞腫や莢膜細胞腫に代表される性索問質性腫瘍の他に,胚細胞腫瘍ではhCG,サイロキシン,セロトニンやα—フェトプロテインを分泌するものがある。これらのホルモン産生腫瘍はホルモン産生能を有しているとしても,それによる臨床症状を呈さないものも多く,摘出標本により診断されるものも少なくない。一方,経腟超音波断層法の導入により,実地臨床において軽度の卵巣腫大を伴う月経不順患者を扱うことが少なくなく,卵巣腫大がfunctionalと判断するべきか苦慮することがある。
近年,non-functional tumorとされていた表層上皮性腫瘍にホルモン産生が認められ,従来のホルモン産生腫瘍の概念にとらわれずそれ以外の卵巣腫瘍からホルモンが分泌されることを理解する必要がある。
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