今月の臨床 漢方薬—西洋医薬との使い分け
思春期
5.未婚婦人の月経異常
見尾 保幸
1
,
寺川 直樹
1
Yasuyuki Mio
1
,
Naoki Terakawa
1
1鳥取大学医学部産科婦人科
pp.1424-1425
発行日 1992年12月10日
Published Date 1992/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901095
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月経異常の原因には,器質的疾患と機能的疾患があり,その病態は,①月経周期の異常,②月経血量および持続日数の異常,③月経発来時期の異常,④閉経時期の異常,⑤月経随伴症状の異常,に大別できる。本稿の主題である若年女性を中心とする未婚婦人におけるこれらの月経異常は,一般的には,性周期を制御する視床下部—下垂体—卵巣系の機能失調,とくにその未熟性に起因していることが多い。しかも未婚の若年婦人においては,既婚女性に対する検査や治療と異なって,その実施にもある一定の制約がある。このような背景から,未婚婦人の月経異常に対する治療法においては,内分泌環境を直接改善するための西洋医学的なホルモン療法に加えて,現在では漢方薬が多用されている。漢方薬の薬理作用は明らかでない点も多いが,基本的には,全身の機能調節や改善を穏やかに促進し,西洋医薬の効能,効果を増強すると考えられ,また,副作用がきわめて少ない点からも,未婚婦人の月経異常に対して適切な治療法と言える。本稿では,未婚婦人の月経異常のうち,臨床上遭遇する機会の多い疾患に対する基本的考え方,対策の概略を述べ,これらに汎用される漢方薬も合わせて紹介する。
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