症例
皮脂腺の悪性変化を伴う卵巣成熟
堀田 正英
1
,
夏秋 洋一
1
,
山田 孝之
1
,
小林 洋
1
,
下釜 達朗
2
,
渡辺 照男
2
,
花田 基典
1
Masahide Hotta
1
,
Tatsuo Shimogama
2
1唐津赤十字病院
2佐賀医科大学病理学
pp.1273-1275
発行日 1992年10月10日
Published Date 1992/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901054
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卵巣成熟嚢胞性奇形腫の悪性変化はまれでありほとんどが扁平上皮癌である。われわれは皮脂腺の悪性変化を伴う卵巣嚢胞性成熟奇形腫の1例を経験した。症例は70歳の女性で主訴は下腹部腫瘤感であった。画像診断上壁の肥厚,fatty componentを有する腫瘤を認め開腹手術を施行した。左卵巣は超手拳大で腹水,腫瘍表面,ダグラス窩の細胞診はclass Ⅱであった。割面は通常よりも鮮やかな黄色調であった。組織診では扁平上皮癌様細胞と明るい細胞質を有する泡沫細胞が浸潤性に増殖し,胞体内外に多数の脂肪滴が証明された。成熟骨,線毛上皮も存在し組織診断を皮脂腺悪性変化を伴う卵巣成熟嚢胞性奇形腫とした。眼窩外皮脂腺腫瘍はめずらしく,皮脂腺の悪性変化を伴う卵巣成熟嚢胞性奇形腫は現在4例の報告があるのみである。卵巣成熟嚢胞性奇形腫の診断に際しては悪性変化をも念頭に置くことが重要であろう。
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