今月の臨床 更年期障害
診断
22.精神心理テスト
安部 徹良
1
Tetsuro Abe
1
1東北大学医学部付属病院産科婦人科
pp.566-569
発行日 1991年5月10日
Published Date 1991/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900421
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更年期障害の診断における精神心理テストの意義
更年期障害の重症度の指標として,Kupperman指数(Kupperman�s Menopausal Index)が広く用いられているが,その算定のための11種類の症状の中に,irritability(いらいら),nervousness(神経質),melancholy(ゆううつ)などの精神症状が含まれている。また,これまで更年期障害と心理社会的因子との間に関連のあることが,いくつかの研究によって明らかにされている。このように,心理的因子は更年期障害の発症に関連する因子のひとつとして重要視されてきた。
しかし,最近,更年期障害は更年期に起こるエストロジェンの急性分泌不全に起因する症状,すなわち,hot flushes,不眠,発汗のみをいうとする意見1)が発表されている。この意見では更年期障害の心理的因子に対する考慮は全く払われていない。ただ,それに関連して,「更年期不定愁訴症候群を更年期障害とすると,更年期うつ病がかなり高率に含まれ,これは症状が更年期障害と類似しているが,病態生理学的にはまったく異なるものであり,更年期障害と鑑別を必要とする」とされているのみである。
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